釈迦ヶ岳、孔雀岳山行記

2002/05/25

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5月25日

  08:01  自宅出発。今日は釈迦ヶ岳から孔雀岳を目指し、孔雀岳の辺りでキャンプの予定で、ペンタックス67を持っての始めての山行だ。さんの話では釈迦ヶ岳には白ヤシオが咲いているとの情報で少し楽しみだ。

  11:47  旭、峠の登山口(上の登山口)に到着。土曜日とあって既に10数台以上の車が駐車している。今日は快晴で森の緑が鮮やかだ、ガスに浮かぶ新緑もそれなりの風情があったが、太陽の下の新緑がやはり一番綺麗に見える。車内で昼食をとり次第出発の予定だ。今日はペンタックス67と愛用のE10をバッグに入れてザックに収めているが、ザックは重量の割に大きさが小さい、何かを忘れているのではないかと気に掛かるが、いくら考えても思い浮かばない、心の中でザックに詰めた物を思い返しながらチェックし、一応必要な物は揃っているのを確認した。

 
峠の登山口からの旭道 

12:06  出発の準備が出来た、上空は真っ青で、山々の稜線上は少し白味がかっているがそれでも青く、木の葉の緑は絵の具では表現出来ない程の初々しさと艶やかさを持っている。奥駈道の縦走の時にこんな良い天気が一日でもあったらと今更ながらに残念だ。

12:16  大峯山系の石楠花は、今年はだめだと思っていたのに、この峠の登山口から10分程の所にある石楠花は結構花を付けている。木の本数は少ないが、木は素直に上に伸び、花は残念ながら少し時期が過ぎている。

12:27  バイケイ草が見える、奥駈道の縦走で見た時よりかなり大きく成長しているが、あの素直に上に伸びた葉のイメージはもはやない。葉は横に大きく張りだし、葉の至る所がこげ茶色に枯れた様に傷んでいる。2~3週間の間に如何してこんなに傷むのだろう、こんなに傷んだバイケイ草も花を付けるのだろうか。

12:30  前方をリスが素早い動きで横切った。狐や狸、鹿は何回か見た事があるがリスは珍しい。バイケイ草の大群落がある。畑に野菜でも植えた様な景観だが、葉はかなり傷んでいる。

12:40  下の登山口からの出会いに到着、以外に近く感じる。

12:55  天狗山が見える。ピークがかなり急峻な山だ、もしかしたら大日岳かも知れない。この2~30m程先のピークを越えた所が二月にさん、さん、さん、SIさん達とキャンプした場所かなと思う。この辺りもバイケイ草が野菜畑の様に群生している。晴天に恵まれた山の新緑を見るのは今回が始めてで、大きな感動を味わったが、山は四季折々に違う美しさを見せてくれる様だ、自分は夏の暑さに弱いと自覚して夏山への山行はしないつもりであったが、夏山がどのような景観を見せてくれるのか、来ないわけにはいかない様だ。今21kgを越えるザックを担いで歩いているが、重いという感覚がない、気持ち良く山を歩いている。奥駈縦走から三週間、平地を荷物も持たずに歩く事さえも、何か体の重さを感じて過ごしてきたのに、山に入るとたちまち元気になる自分は山男になりきってしまった様だ。

13:01  二月のキャンプ地に到着。熊野灘側のかなりの急斜面であり、雪がないと到底テントなど張ることが出来ない場所だ。雪山だとどんな場所でも雪を均してテントを張れるし、水の補給の心配が無いし、美しい霧氷も見られる。たった三ヶ月前の事であるがそんな事が懐かしく感じられる。天狗山、そして南奥駈道のアップダウンが延々と続く尾根が見える。このゴールデンウィークにあの道を辿り那智迄歩いたのが、もうかなり昔の事の様に感じられる。正面には釈迦ヶ岳も見えている。駐車場に到着した時は全天快晴であったが、今は少し小さな雲があちこちにぽつりぽつりと見える様になった。天気は下り坂になるのかも知れないが、それでも雲のない所の空の青さは地上では見られない澄み渡った青さだ。

13:09  古田の森に到着。ここも一面バイケイ草に覆われている。ここらで写真を撮っておこう。

13:40  ペンタックス67で始めてのシャッターを切る。デジカメのシャッターは手当たり次第に思いつくまま、殆ど何も考えずにフィーリングで切っていたが、さすがに67ではそうは行かない。まず運用コストの事、折角の67が生かせるカットか等ついつい考えてしまう。しかしファインダーから覗く自然は、デジカメでは味わえない圧倒的な迫力と色の美しさで飽きる事が無い、シャッターを切らなくてもこのまま覗いているだけで満足できそうだ。絞りが11までしか無いデジカメから、いきなり絞り32の世界に入るとシャッター速度がやたらと遅くなり、この風の揺れで大丈夫かと、どうしても絞りを開放気味にする。慣れないせいか絞った状態では暗くて被写界深度を確認するのは難しい。撮った結果を見ながら経験を積み重ねるしか無さそうだ。デジカメを持つ時、67を持つ時それぞれの特徴が生かせる様に、自分なりのしっかりとしたコンセプトで使い分けて行こう。

13:59  古田の森での写真撮影を終える。これから釈迦ヶ岳に向かう。

14:21  千丈平に到着。これまでの道はバイケイ草で埋まっていたが、この少し前辺りからトウヒの木が増えてきた。新緑の葉が冴えて見えるのは楓系の木で、逆光に透ける葉の緑色は何とも言えない綺麗さだ。ブナ系の緑はまだそれ程の感銘を受けていないが、これらも時間の経過で景観を変えて行くのだろう。次の山行を楽しみにしよう。水場で顔を洗いサッパリとした。ここらで休憩しお菓子でも食べよう。この後の予定は奥駈道出会い付近での白ヤシオの撮影がメインだが花は咲いているのだろうか。その後は孔雀迄足を伸ばし水場付近でテントを張ろう。

14:44  奥駈道出会いに到着。白ヤシオらしき花の群落は見られなかったが、ここに額紫陽花に似た白い花がある、この花が白ヤシオなのだろうか、取り敢えず写真に撮っておこう。

 
ガクアジサイに似た白い花 

15:21  撮影を終了し釈迦ヶ岳山頂に向かう。約10分の予定。釈迦ヶ岳から深山の宿に下るか、孔雀に行くか少し迷っているが、奥駈道の縦走で孔雀からガスの中で何度も方向感覚を狂わせながら登った釈迦ヶ岳への道が、この天気の良い中で如何感じるのかも少し興味がある。取り敢えず山頂迄登って考える事にしよう。

15:44  今、釈迦ヶ岳から孔雀岳に向かっている。又鎖場で水筒を落としたが幸い途中で泊まり今回も助かった。奥駈道を歩く時この道は非常に怖かった、釈迦ヶ岳に登るこのラストの坂道は、道がぬかるみ凄い急斜面に感じ、ガスで隠れた山頂迄どのくらいあるのかも判断出来ず、本当に怖い思いをしながら登った記憶があるが、この晴天の穏やかな今日はなぜあんな恐怖心を持ったのかさえ判らない程なんでもない道に思える。山は天候によりどれほど変わるか、又人間自身の心理もどれほど変えてしまうのか、これは遭難にも結びつく大きな問題の様だ。

16:30 孔雀岳1779m山頂に到着。山頂の展望は良くない。もう少し歩いた所に五百羅漢が見える覗き場あるので、その辺りでテント場を探してみよう。

16:34  ここが孔雀の覗きだ、そろそろ今立っている岩の日陰が羅漢石を隠す程の角度になっている。数個の羅漢石は暗く、日の当る石との明暗は大きい。やはりこの辺りにもテント場は無いようだ。

16:50  孔雀の水場に到着。辺りを見回すがテント場は見つからない。道はこの時間になると誰も通らないと思えるので、道の上にテントを張ろうかと思う。

16:55  水場から20m位上に行ったところに結構フラットな場所が数カ所ある、この場所にテントをはる事を決定する。

 
新緑の釈迦ヶ岳 

17:31  テントの設営が終了した。ペグが打ち易く手で押しただけでペグは入り、しっかり固定出来る。これに関しては今までに経験した最良の場所だ、平坦度もまあまあだし水もある、結構穴場のキャンプ適地かも知れない。水は2リットル持ちあがったが、水道水よりやはり山の水の方が良い、孔雀の水に変え様と思う。これから水を汲み、日も長いので夕陽の撮影チャンスもあるかも知れない。

 思わぬ事が起こった。水場で水を汲んでいる時、仏生ヶ岳方面から人がくる、この時間にこの辺を歩くとすれば泊まりに違いないと、“どちらまで”と声を掛けると、“冷たい事を言うなよ”と返った来た。良く見るとなんと名古屋のさんである。毎回こんな事があって良いのだろうか、先日の奥駈道の縦走時はさんに会ったし、広い大峯山系のこの一点で、この時間に、約束もしていない友人にバッタリ出くわす事が二度も続くとは。さんを自分のテント場に誘いこみ、予定を変えてここで泊まってもらう事にした。さんのテントで一緒に食事をし、もろもろの話に花を咲かせた。

  夜は鹿がテントの近くまで寄って来て鳴く事が何度もあり寝つきを妨害され、さんの爆睡音が聞こえる中で何故か眠れぬ夜を過ごした。山登りを始めた初期のキャンプは良く眠れた思いがあるが、最近は眠りの浅い事が結構多い。

5月26日

  4時起床、朝焼けを撮ろうと孔雀の覗きに向かう。5月の末でも山頂は冷え込みがきつくカッパを来ての撮影だ。仏生方面から太陽が昇り、山陰に隠れて思うようなチャンスは無い。五百羅漢には殆ど光りは当らないし、雲は焼けないし、相当の粘りも成果は得られなかった。テントに戻るとさんも雲の焼けるチャンスを待っていたがだめだなと諦め顔だ。

  朝食を済まし、テントを撤収し、7時過ぎにはテント場を発って釈迦ヶ岳に向かう。さんの予定は、今日は和佐又ヒュッテで泊まるとの事でそんなに慌てる旅でもなさそうだ。途中で撮影のポイントがあればカメラを出そうと、さんの花の講義を聞きながら一人山行とは違う楽しみを味わいながらユックリと歩く。この中で白ヤシオの木がどれなのかを知り、千丈平からの登り口で撮った白い花は白ヤシオではない事を知る。

  釈迦山頂から千丈平に降りる北側斜面に白ヤシオの群落があり、花の芽の付き具合を観察しながら下ったが、全く芽の付いていない木が目立ち、今年は白ヤシオも不作ではないかとの観測だ。白い芽が吹き始めた木も数本あるので、来週また来てみるのも悪く無いかも知れない。

  千丈平ではマタマタ思わぬ人に会ってしまう。志高のKUさんだ。始めて志高の集会に参加した時に一度会っただけなのに、KUさんは私を覚えていてくれた。私は顔の記憶はあるが何処の誰なのかを思い出せなかった。会社をリタイヤした後も元気に山行を続けている様で、今日も数人の仲間を連れての山行の様だ。

  約束では本日さんも釈迦ヶ岳に来る予定だが中々現れない、さんは志高の会員は皆嘘をつくとぼやく、私も前鬼の三重の滝行きをすっぽかした事があるので何も言えない。峠の登山口迄来ると駐車場にさんのジムニーが見える、さすがにさん、約束を破る人ではない事を再確認した。

  さんも白ヤシオの撮影がメインで来ているため、今年は白ヤシオの花芽が少なく、有っても花は殆ど咲いていない事を伝えると、登頂を断念しさんにお付き合いする事に決めたようだ。駐車場でコーヒーを飲みながら暫く歓談した後、お定まりの夢の湯での温泉と食事を楽しんだ後、二人は翌日の大普賢岳を目指して和佐叉へ向かった。 

 さんに会って後ボイスレコーダーに記録していないので、思い出しながらの記述となった。

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