七面山下見報告

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2002/04/05

志高の5月度例会に“七面山の石楠花撮影”が決定し、私が担当になった。まだ一度も行った事のない七面山、しかも担当の役割がどんな事をするのかも解らずいささか面食らっているが、取り敢えず下見という事で登って見る事にした。

これが3月15日の金曜日の事で、会社を定時で終え一旦自宅に帰って山行の準備をすると国道168号線の星の国を目指して出発した。22時に星の国に到着、最近どの道の駅にも何台かの車が寝台車と化している事が多いが、ここにも2台の車が既に入っていた。何時もの様にエンジンを切り車中で寝袋に潜り込む。

16日土曜日4時起床、準備をして5時に出発。大塔村役場前で左折して篠原林道を目指すが、5Km程入った所で路肩陥没による全面交通止めが有り一度目の挫折となる。後で振返るとそれらしき標識があったのは確認していたが、その文章はヨソモノではどの道が何処で全面交通止めになっているのかは解らない文面だ。引き返す途中、真っ暗な中これもヨソモノと思しき車が2台やって来るのでフラッシングで合図を送り、止めて事情を説明する。ここでジックリと地図を見なおすと168号線をもう少し南下して、“夢の湯”の橋の手前を左折するコースのある事が解り、気を取り直して再出発する。

篠原の林道に入る頃には明るくなり、釣人から入漁料を徴収するオヤジに呼び止められた。山に登るんやけどと言うと怪訝そうに車内をちらりと覗いた様だ、大塔村役場前からの2台の車は釣の車だった事に気づく。ここからの砂利道は凄まじい程悪い、5km/h程度の速度で車に衝撃を与えない様ノロノロと進む。途中一般車通行止めのゲートがあるが、ゲート代りにチェーンは掛けているものの鍵は掛けてない。これはあらかじめインターネットの情報で知っていたので、チェーンを外して強制進入する、これが2度目の挫折の始まりとも知らず。

この林道はコンクリート舗装、砂利道、ハスファルト舗装の入り混じった道路で、途中何箇所も落石の跡があり、新しい落石は割れた部分が鋭利な刃物の様に尖っている。これではタイヤが持たないと、何度も下車して落石を脇に片付けながらの超ノロノロ運転となる。8時、何とか七面山登山口に辿りつきほっとするも車の様子がおかしい。チェックすると右前のタイヤがパンクだ。あれだけ注意して登ったのにこの有様では帰りはもっと怖い、貧弱なスペアータイヤではとても持たないのではないかと考えるともう恐怖だ。取り敢えず七面山下見登山は諦め、新車一週間目のパンクでタイヤ取替えの実技訓練となる。後は無事に恐怖の山から脱出する事だけ考え、超ノロノロ運転と落石を排除しながらの苦しい下山となった。

登山口まで来て山に登らなかった事ほど情けない事はないが、あの状況ではとても山に登る勇気は持てない、これは仕方のない事だと諦め、帰りに見つけた最初のガソリンスタンドでタイヤを修理取り替えし、星の国で遊んだり、金毘羅神社詣でをしたりと揺ったりとした気持ちに切り替えて帰着した。

   
 リタイヤの帰りに寄った滝ノ宮  篠原集落の里の紅梅

これが前回下見に失敗した経緯で、この事が気に掛かり再下見のチャンスをうかがっていた。会社では4月5日2時から17時迄の大規模な後半改造の試運転が組まれており、前半の改造での2度の試運転失敗からの反省で、今回は慎重にソフトデバッグを行った成果が出て、一箇所のソフト修正だけで順調に立ち上がり、朝6時には工場渡しする事ができ拍子抜けの感じであったが、このまま退社して良いとの指示があり、残務整理をして自宅に帰宅すると9時、これは七面山再下見のチャンスと慌てて山行の準備をして、10時には自宅を出発していた。

   14時、同じ迭は二度と踏まないと、今回は一般車通行止めのゲートで車を止め、ここから歩いての登頂とする。道は前回よりかなり整備され、これだったら何とか車も登れるかもと思いながらも後悔は無い。左前方に八経ガ岳を望みながらの林道は、程々の勾配でテントが入った重いザックも苦にならず、昨夜寝てないお前はスーパーマンかと自分に問いかけながら、快調なペースで歩く。途中5尾の鹿を発見、逃げる彼らのお尻はなぜか異様に白い。丁度一時間で登山口に到着。

登山口からは杉林の急な斜面の直登となるが、杉の落葉が重なってクッションになり足への負担は少ない。約30分で尾根道にでる。尾根道に入ると勾配は穏やかだが、木の根っ子が至る所張りだし、根っ子の上をずっと歩いている状態だ。雨で根っ子が濡れると危険な道かも知れない。20分も歩くと石楠花とトウヒの植生に変わり七面山西嶺迄に2つの石楠花大群落を確認する。石楠花の葉の表は普通の緑色なのに、裏は濃い茶色で何時も不思議に思っている、深山に棲息する彼らには日光の当らない裏側の葉は光合成の必要が無いからかも知れない、それにしても茶色にどんなメリットが有るのだろう。写真に収める時は茶色を隠して、しかも愛らしい花が前面に出るポイントを探さなければと思いながら約60分で七面山西嶺に到着。

西嶺から東嶺の間は約20分で、テントを張れる場所を探すも適当な場所が無い。中間部で平坦度は悪いが、何とかなりそうな場所を仕方なく選択する。テントを張り、サー食事だとザックの中から道具を探すも、ガスはあるがコンロが無い。七面山は自分にとって鬼門の方角かと嘆きながら、昼に残したレーズンパン二切れと百円菓子の半分を夜の食事とし、残り半分の菓子を明日の朝食とする。自分のウッカリを恨みながら今日も早々と寝袋に潜り込む。本日は5月の大峰奥駈の下見も兼ねて、3シーズン用の寝袋を試すが寒くて寝つけない、使いたく無いインナーを使用して漸く睡眠にはいる。(私のインナーは重いので奥駈には持って行きたくない)

   朝6時30分、誰かが歩いている様に感じて目を覚ます。今日も良い天気ではあるが七面山は木に覆われて視界があまり良くない。八経ガ岳が木の間から少し見える位の物で、写真のポイントは殆ど無い。明るくなった空に浮いた三日月と枯れたトウヒが少し幻想的な雰囲気を醸していたので三脚を構えた。昨日残した半分の菓子と水で朝飯とし、早々とテントを畳んで下山の途に付く。途中後ろから挨拶されビックリする、何処から?とすかさず声を掛ける。天川和田に車を止め天和山・栃尾山・頂仙岳・弥山・八経ガ岳と歩き舟のタワでテントを張っていたとの事、今日は篠原の集落から川瀬峠を越えて天川和田に戻るとの事。地図で見るとブッシュと書かれた点線が半分を占める大変な道をなぜと思う。彼曰く、本で読んだ昔歩かれた峠道を歩くのが好きだ。山の世界には、山が好きだけでなく色々な形で山を歩く人が居るのだと教えられた。山岳写真を撮る我々もその一つの形態かも知れない。彼の今日の道中も長いので私の車迄一緒に歩き、篠原の集落迄送る事にした。

   
 早朝の三日月  篠原の里のツツジ

登山口に辿りつくと一台の乗用車が止まっていた。この季節の七面山にも登る物好きが居るんだ、今朝テントの横を歩く物音はこの人だったんだ。私には下見という名目があったが、この人は何の目的で登るのだろう、石楠花の蕾はまだ固いのに、やはり世の中は広い、色々な人がいるという事を実感させられた。登山口からの林道では軽4で林道を見まわるオジサンに会った。私有地なので車では入ってほしくない、万が一落石等で車が下山出来ない時は自費で落石の撤去が必要だと説明された。車をゲートに止めたのは正解だ。

彼を篠原の集落に降ろし、何時もの様に夢の湯温泉に浸かり、昨夜と今日の朝、食事をして無い分御馳走を食べて、今回の下見山行を占めくくった。

5月の例会は頭が痛い、幕営するにも七面山迄登れば幕営する場所は無い。考えられる撮影山行の行程は15時頃にゲートに着き、一時間で登山口迄歩く、ここで幕営酒盛りし、明朝テントに荷物を残して、カメラと三脚の身軽な出立で石楠花群落迄約一時間の道のりを歩く、次の志高の集会ではこの行程で皆に諮って見よう。七面山は視界が悪く、写真を撮る者にとって山としての魅力に欠けるが、石楠花は確かに沢山ある。でも山は山として魅力があり、石楠花も沢山咲く山もあるし、このまま例会を七面山として良いのか、石楠花を撮るのが目的だけなら少し引っかかる物を感ずる。

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